キレイに書くことよりも大切なこと――失敗を許す心

一所懸命に「綺麗に書く」女の子

私が、3年生を担任していた時のことです。
ある日の国語の時間、新出漢字の練習に取り組んでいた女の子が、自分の書いた漢字の字形に納得がいかず、何度も消しゴムで消しては書き直しを繰り返していました。
表情は歪み、今にも泣き出しそうです。
「納得するまでやってみているの?」と聞くと、「うん」と話し、「綺麗に書くこと」に全力を注いでいました。
普段から几帳面で、クラスでちょっとした揉め事があれば、いつも正しいことを話して場を落ち着けようとする子です。そんな彼女だからこそ、「間違ってはいけない」「ちゃんとしていなければならない」という思いが強かったのでしょう。


朝の教室での涙

そんな彼女が、ある朝、教室の自分の席で、両手で顔を隠すようにしくしく泣いていました。
声をかけると、「宿題を忘れちゃったんです…」と。
その表情には、「自分はこんな失敗をしてはいけなかったのに」という悔しさと情けなさがにじんでいました。宿題を忘れてしまっただけ、なのに。。。
もちろん指導は必要ですが、それ以上に「失敗をしても大丈夫」という安心感を感じてもらうことが、今の彼女には必要だと思いました。


失敗しても次があるという柔軟さ

私たちは時に、「失敗しないように」「ちゃんとやらなければならない」と強く思いすぎてしまいます。もちろん、スムーズにできれば何の問題もないかもしれません。ところが、毎回望んだ結果が出ないのが現実です。
大切なのは、失敗しないことよりも、失敗したときに「次がある」「またやり直せばいい」と考えられる柔軟さです。その子が「できるようになりたい!」と周りの大人は本人の頑張りを認め、本人は、失敗の事実を受け入れつつも次へと気持ちを切り替えていくのが本来の姿。
子ども本人が事実を認めて乗り越えてこそ、次の行動への原動力になるのです。


行動の一歩は「失敗を許す心」から

「かんぺき」を求めるあまり、動けなくなってしまう子は少なくありません。
失敗を恐れず、行動できる自分でいるためには、「失敗を許容する心」が必要です。
私たち大人も含め、完璧を目指す前に「失敗してもいい」という土台を大切にしたいですね。
失敗をしたときこそ、その子の力の伸びしろが見える瞬間なのですから。

 

※※※

文字を美しく書く技術、私もほしかったなぁ、と思いながら、1年生の担任をすると、子どもが使う「ひらがなちょう」「カタカナちょう」に自分も練習していました。
黒板に書く字が曲がっていても何も言わない(言えなかった?)子ども達の寛容さに感謝します。

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写真は、先日行った大阪府の姫島神社。朝早く行ったのでこんな感じだったのですが、毛筆で書かれた日本の文字は、本当に美しいものです。

 

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